映画『モンテーニュ通りのカフェ』 幸せのみつけかたの見つけ方

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誰もが舞台の席では前のほうの席に行きたがるの、でも一番前に行ってみて何も見えないことに気づくのよ。

原題となった「Fauteuils d’orchestre(オーケストラ・シート)」はオペラなどを鑑賞する際のオーケストラピットに近い前列の座席のこと。

邦題のつけ方が素晴らしいですね!


★★★☆☆
ダニエル・トンプソン監督
『モンテーニュ通りのカフェ』

Fauteuils d’orchestre/2006年制作/フランス

監督 ダニエル・トンプソン
脚本 ダニエル・トンプソン
クリストファー・トンプソン
製作 クリスティーヌ・ゴズラン
製作総指揮 アラン・サルド
出演者 セシル・ドゥ・フランス
シュザンヌ・フロン
アルベール・デュポンテル
ヴァレリー・ルメルシェ
音楽 ニコラ・ピオヴァーニ
撮影 ジャン=マルク・ファブル
編集 シルヴィ・ランドラ

あらすじ

田舎出身の女の子ジェシカ(セシル・ド・フランス)が、おばあちゃん(シュザンヌ・フロン)に影響されて憧れのパリに上京、有名な劇場や、オークションハウスが軒を並べる通りのカフェで幸運にも仕事をみつけます。このカフェはギャルソン(男のウェイター)しか雇わない方針だったのですが、あまりの忙しさに彼女を雇ってしまいます。ジェシカはその持ち前の明るさと屈託のなさで、カフェに集まってくる有名人や資産家とだんだん親しくなっていきます。

気持ちのいい群像劇

主人公ジェシカは、働き始めたパリ8区・モンテーニュ通りの「カフェ・ド・テアトル」で様々な人物に出会います。

ジェシカが出会う人たちはそれぞれの世界では成功を収めているセレブたち。
著名なピアニスト、昼メロの女優、美術収集家としてしられる大富豪など。
だけどみんななんかすっきりしない。
「いいのかな、このままで」って心に葛藤を持った人たち。

様々な人間模様。それらが絡み合った時、小さな幸せの花が咲く。

彼女の明るさが出会うすべての人の心を明るくしていく群像劇。
見ていてとても気持ちよかった作品です。

おばあちゃんのコトバ、深い。

 「話せば長くなるけど…」といいつつ自分を語り始めるジェシカ。
彼女の素直さや明るさが、みんなの心を少しづつ動かし前向きになっていきます。そして、人生は好転、その過程が気持ちいい。

そんなジェシカに影響を与えたのはおばあちゃん。

セレブに憧れたのよ。でもなる術がなかったから、一流ホテルで働くことにしたの。

このセリフ、庶民的でわかりやすいですね。
とても気持ちが伝わってきます。

何気なく語るおばあちゃんのコトバが味わい深いです。

あなたは私の太陽だわ。

恐れずに前に一歩踏み出すことが大切よ。
それで私の人生は輝いたのよ。

シンプルなセリフの中に大きな優しさを感じます。ジェシカの明るさはおばあちゃんの愛情によって育まれているのかもしれませんね。

主人公ジェシカの名セリフ

この作品はセリフの言い回しがさりげなくて好きです。

フランス映画らしい、日常の中に存在する物事の本質が描かれているとボクは感じました。

遠すぎず、近すぎない席がいい

ジェシカのこのコトバは幸せに気付くためのちょっとしたコツを教えてくれているようです。

人間には二種類いるわ

電話がかかってくると、チェッと思う人と

私みたいに誰かしら?   とときめく人

若いジェシカがサラリと教えてくれる。人生を楽しむためのちょっとしたコツ。 ハリウッド映画のように「人類存亡の危機」だとか「国家を揺るがす大事件」が起きなくても、ジェシカは気づいていました。

お金持ちや有名人でも優しかった。

あなたはそのどちらでもないのに優しくもない。

この皮肉に満ちたコトバ、ジェシカはいったい誰に言い放ったのでしょう。とっても好きなシーンでのセリフでした。

印象に残ったキャスト

主役のセシル・ドゥ・フランスさんがとてもいいんです。
「スパニッシュ・アパートメント」で始めて見た時のかっこいい雰囲気とは 全然違って、見事にかわいくて屈託のない主人公を演じています。

おばあちゃん役のシュザンヌ・フロンさんも味わいのある演技が印象に残りました。「あぁ、このおばあちゃんにしてこの孫ありやね」と思いました。

フロンさんはフランスでは大女優なんですね。まったく、勉強不足でした。この作品が公開される直前、お亡くなりになったそうです。作品にも「シュザンヌへ」とクレジット表記されていました。

幸せなコトバと出会える作品

この作品には日常的な幸せがたくさん描かれています。それはすてきなセリフとともにいろんなシーンで感じることができます。

ジェシカやおばあちゃんだけでなく、どのキャストも味のある「すてきコトバ」によって魅力的に描かれています。

これからご覧になる方は、しあわせなコトバに注目して見てみると、より楽しめるのではないでしょうか。


いかがでしたか?

映画『モンテーニュ通りのカフェ』は

『幸せはいつでもあなたの中にある』と教えてくれる心地いい作品でした。

この作品との出会いに感謝します。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではまた別の作品でお会いしましょう。


今回ご紹介した作品

モンテーニュ通りのカフェ [DVD]

画像をクリックすると詳細がご覧になれます。

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