1000年生き続ける植物、ウェルウィッチア。『植物たちの爆発』の中、ボクらは生きている。 

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桜の季節は春の雨によって、あっという間に過ぎ去った。

『穀雨』

二十四節気の一つで、4月20日頃から立夏(5月5日頃)までの時期を表すコトバだ。
この季節から少しづつ雨が多くなり始め、穀物たちの成長を促すことからこう呼ばれている。
春という季節の最後だ。

不思議なもので桜が散ったあと、その事を悲しむ人はほとんどいない。むしろ人々の表情はどんどん明るくなり、服装も足取りも軽やかになる。

桜を引き継ぐように芽を出した若葉たち。
萌黄色(もえぎいろ)の新芽がまっすぐに空に向かって伸びてゆく様子は、桜の散る儚さを忘れさせるのに十分なエネルギーをもたらしてくれる。

「植物たちの爆発」とも言えるだろう。
早春に始まり、冬の訪れとともに終わりを迎える「植物たちの爆発」。

そのサイクルをボクらは『四季』と読んでいる。


そんな植物界にあって、葉っぱを2枚しかも持たない種類があるという。

『ウェルウィッチア』
和名は『奇想天外』『砂漠万年青(サバクオモト)』

葉っぱが2枚、つまり1対の葉を延々と伸ばしていく砂漠に根を下ろす奇妙な植物だ。
このウェルウィッチアは寿命が1000年以上と言われている。
現存している最古の株は1600年以上。

Welwitschia mirabilis(2).jpg
By Thomas Schoch – own work at http://www.retas.de/thomas/travel/namibia2003/index.html, CC 表示-継承 3.0, Link

その姿からも『奇想天外』と呼ばれるにふさわしい。

直径は4m、高さは1.4mにもなる。

人間が何世代にも渡って観察を続けたところでこの植物の生涯を見ることはできない。

ずいぶん長いサイクルのように感じる話だが『42億歳の地球』からするとそうでもないだろう。42億年生きてきた地球の時間軸で考えてみると、1000年の寿命を誇るウェルウィッチアをもってしても「ピュ〜っと芽が出てぐんぐん伸びて…もうおしまい?」みたいなもんだろう。

その長いサイクルに寄り添って見てみると、春先から始まって冬に終わりを告げる「植物たちの爆発」はほんの一瞬の輝きにしかすぎない。
キラリと光る1個の雨粒のようなものかもしれない。

雨粒の中に生きるボクらはなんと儚いものだろう。
それと同時になんて綺麗なんだろうと思う。

窓の外で雨が降り出した。

穀雨。

いつもより雨粒がキラキラ輝いている気がする。

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