伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』はドキドキ、ノスタルジック、フレンズな良書

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「ビートルズが好きな人なら、すっと読めますよ」

そういって同僚が貸してくれたのがきっかけで
この壮大でミステリアスなヒューマンドラマに引き込まれていきました。


『ゴールデンスランバー』

著者:伊坂幸太郎

出版社:新潮社(2010年11月26日 第1刷)

2008年 本屋大賞受賞
2008年 山本周五郎賞受賞


★★★★★

あらすじ

仙台でパレード中の総理大臣がラジコンヘリ搭載の爆弾で暗殺された。
その時、主人公青柳は、旧友森田に釣りに行こうと誘われ現場近くにいた。
全く身に覚えがないのに首相暗殺犯と断定されてしまった青柳。
次々と現れる証拠と巨大な陰謀。
首相暗殺の濡れ衣を着せられた男は、逃げ切ることができるのか?

迫り来る追っ手。次々に現れる謎の人物。
ビートルズの名曲と古い記憶が、鍵を握る。

作品の感想とすてきコトバ

ミステリーからちょっとしたサスペンス、そして温かい血の通ったヒューマンドラマ。

いい作品に出会えました。

この作品は「首相殺害の犯人にしたてあげられた主人公」の人間関係を中心に描かれていきますが、思い出の回想シーンや友達とのセリフ、何気ない描写の中に伏線がたくさんあります。読み進めるにつれ、「あ、そんな意味があったのか」となる場面がたくさん出てきます。
スリリングな物語と、ノスタルジックで遠い記憶とのコントラスト。伏線の回収が見事で飽きさせません。

ってゆうか途中からはドキドキの展開で、690ページはあっという間に終わってしまいました。

日本人は、自ら考えているようでいて、実は考えているように思わされている

「国家権力に対する痛烈な批判」と「人と人とのつながり」を対比させ、事件は様々な角度から描かれます。そして、それぞれの「事情」を浮き彫りにしていきます。

フラッシュバックのように描かれる学生時代の思い出や
ビートルズのアルバム「アビーロード」の歌詞がノスタルジックな雰囲気を醸すなか
主人公の仲間がもつ信頼感がとても心地いい。

反面、主人公青柳を追う人物たちの狂気、謎めいた支援者の登場、一個人対巨大組織といったコントラストの強い作品です。

俺にとって残っている武器は、人を信頼することくらいなんだ

一見すると孤独な逃走に追いやられている感のある主人公・青柳。

しかし、仲間や両親、様々な「粋な」人たちに助けられ励まされ逃走を続けます。

心が折れそうになったとき、蘇る親友のコトバ。

コトバに裏打ちされた信頼。

主人公青柳の元恋人、春子がときおり放つひと言がグッときます。

青柳:「俺は犯人じゃない。」
晴子:「だと思った。」

人はもしかしたら「心に響くコトバ」だけでも生きていけるんではないだろうか。
コトバは人生を変える力を持っている。

この作品を読みながら、そんなことを何度もなんども思いました。

アビーロード、後半のメドレーが
また聴きたくなりました。


2010年には映画化されています

 堺雅人さん、竹内結子さん出演のこちらもオススメです!

今回ご紹介した書籍


いかがでしたか?

『ゴールデンスランバー』はスケールのでかい人情作品でした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではまた別の作品でお会いしましょう。

「よくできました。」

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