”天皇陛下の退位を認める特例法が成立した” というニュースがありました。
以前から「天皇陛下の退位」に関して思っていたことをこの機会に書いておきます。
天皇が国民に,天皇という象徴の立場への理解を求めると共に,天皇もまた,自らのありように深く心し,国民に対する理解を深め,常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました。
〜 象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば(平成28年8月8日)より
「天皇陛下の退位」とは、「憲法によって定められている、天皇に課せられた仕事を辞める」ということだ、とボクは解釈しています。
天皇陛下は2017年時点で83歳。かなりご高齢まで仕事をしていることになります。
天皇陛下というのは、「日本という国の象徴」ですが、これは日本国憲法・第1条で定められています。
日本のシンボルとして仕事をなさっているわけです。
天皇陛下のお仕事
天皇陛下のお仕事は、日本国憲法によって定められている『国事行為』を行うことです。
国事行為というのは具体的には
- 内閣総理大臣や最高裁判所長官の任命。
- 憲法改正、法律、政令及び条約の公布。
- 国会の召集。
- 衆議院の解散。
- 国会議員の総選挙の施行の公示。
- 国務大臣の認証。
- 外国への全権委任状、派遣する特命全権大使・特命全権公使の信任状の認証。
- 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権の認証。
- 栄典の授与。
- 批准書、条約など外交文書の認証。
- 外国の大使、公使の接受。
- 儀式を行うこと。
となっています。
また、憲法で定められてはいないけど
- 友好のための諸外国への訪問
- 国会開会式への臨席
- 外国賓客の接受
- 園遊会の主催
- 宮中晩餐会
など、よくニュース映像で目にすることも多いイベントですよね。
それ以外にも、国民のための活動として
- 福祉施設への訪問
- 被災地などへの訪問、激励
- スポーツ観戦やコンサート鑑賞での激励
などが挙げられます。
実に多忙です。ぜひ 宮内庁のホームページ でその多忙ぶりを実感してください。
皇室のご活動という項目には天皇皇后陛下の活動日程がアップされています。それを見ると、ほぼ毎日どこかへお出かけになって行事に参加なさっています。
様々な形で国民と接し、諸外国の要人とコミュニケーションを図り友好親善のため尽力されていることがよくわかります。
とても忙しい毎日のようですが、休日はどれぐらいあるのかと言いますと、
休日は100日以下です。
80歳を超えた人がそんなハードなスケジュールをこなしているのです。
社会問題として、働きすぎによる「うつ」や「過労死」などのメンタルな問題が取り上げられていますが、国家の象徴である天皇陛下が年間休日100日以下で働いているのです。
とても疑問を感じる現状です。
そんなハードなスケジュールをこなすためにはそれなりの生活環境とお金が必要です。
天皇陛下の収入
年収、収入による総合情報サイト『年収ガイド』によると、天皇皇后陛下の、生活のために必要なお金は「皇室経済法」という法律の下、国家予算でまかなわれています。
大きく分けて2種類、宮内庁費と皇室費に分かれています。
宮内庁費
宮内庁の運営のための必要な人件費・事務費などの費用。
2016年は109億3979万円。
これは収入とは少し違いますね。
皇室費
内廷費と呼ばれるもので、天皇・皇居に住む皇族の日常の費用で、法律により定額が定められています。
2016年は3億2400万円。
これが実質の給料と言えるものでしょう。
その他には
『宮廷費』
儀式、国賓・公賓等の接遇、行幸啓、外国ご訪問など皇室の公的ご活動等に必要な経費や皇室用財産の管理に必要な経費、皇居等の施設の整備に必要な経費。
『皇族費』
皇族としての品位保持の資に充てるためのもので、各宮家の皇族に対し年額により支出されます。
2016年は3050万円。
があります。この二つは給料というより「手当て」の部類に入りそうです。
実質3億2400万円。
数字だけ見ると多いように感じますが、先に挙げた過酷なスケジュールをこなされています。
震災などによって生活弱者となってしまった人々への心のケア、諸外国との(政治的ではない)純粋な友好関係の構築。
また国内外問わず、お付き合いの多さから『お見舞い金』や『お祝い金』、訪問の際の『贈り物』など相当な金額になるでしょう。
そのどれもが、ボクたち一般国民には到底マネのできないことばかり。微力ながら尽力したとしてもその影響力は比べ物になりません。
天皇陛下は、ハードスケジュールをこなすだけではなく「友好と平和」という偉大な成果を挙げられているのです。
そう考えると、3億2400万円は決して高いとは思えません。
同じ人間なのに
天皇陛下は人間です。
ボクらも人間です。
形は違えども、それぞれに仕事があり生活があります。
例えば、あなたが会社員で課長という肩書きを持っているとします。9時~5時という束縛はあるけど、それ以降は課長という肩書きからは解放されます。
何より、『仕事を辞める』権利があります。
一方、天皇陛下は24時間365日、天皇陛下という肩書きから解放されることはないでしょう。しかも、それが死ぬまで続くのです。法律で決められているんです。
おかしいと思うのです、ボクは。
なぜ、仕事を辞める権利が与えられていないのでしょうか?
同じ、人間なのに。
ただ、それだけです。
諸事情あって現状があるとは思うけど、天皇にだって『休む権利』『引退する権利』があってもいいんじゃないかな。
そもそも『職業選択の自由』がないのだから。