ボクらが食べるうなぎはオスばかり?!
「土用の丑の日」と聞いて真っ先に思い浮かぶものはなんですか?
日本人ならほとんどの人が『うなぎ!!』と答えるのではないでしょうか。
Google画像検索で『土用の丑の日』と入力してみてください。
面白いくらいうなぎの画像が表示されます。
このブログでも過去に『食べ物としてのウナギ』をご紹介しましたが、今回は『お魚としてのうなぎ』にスポットを当てたいと思います。
謎のお魚「うなぎ」
うなぎの起源は約1億年前「白亜紀」インドネシア辺りだと推測されています。
現在のところ、19種類が確認されており、河川や湖にすみ、なんでも食べる雑食のお魚です。
紀元前300年代に活躍したギリシャの哲学者、アリストテレスはうなぎのことを『泥から生まれてくる魚』と言いました。
また、ヨーロッパでは『ウナギは馬の尻尾が落ちてできた』と言われ、日本でも『山芋変じてウナギと化す』と言われるほど謎の多いお魚でした。
生息域は河川や湖など身近な場所であるにもかかわらず、卵が見つからないことが大きな要因だったのでしょう。
うなぎの故郷
アリストテレスの時代から2400年ほどたった現在、2009年に東京大学大気海洋研究所の塚本勝巳教授らの研究チームがニホンウナギの産卵場所をついに突き止めました。
それは、日本から2000km以上離れた南の海。
グアム島の西のマリアナ海嶺南端の海山、深さは約160m。
塚本教授が30年以上の歳月を費やしてたどりついた場所でした。
この時、卵も採取され、この後のうなぎ研究に大きく貢献しました。
出典:水産庁
ニホンウナギは出世魚
夏、うなぎはマリアナ海嶺スルガ海山付近で産卵します。
冬、上図にあるように海流に乗って日本近海へとたどり着きます。
このころはレプトケファルスと呼ばれる幼生です。
やがてシラスへと成長します。
その後、日本の河川へと入り5〜10年過ごし、クロコからキウナギへと成長します。
さらに秋から冬にかけてギンウナギへと成長し川を下ります。
そしてマリアナ諸島沖スルガ海山付近で産卵しその一生を終えるのです。
ニホンウナギは
レプトケファルス→シラス→クロコ→キウナギ→ギンウナギ
と成長するごとに名前を変えていく出世魚だったんです。
99%が養殖うなぎ
現在、ボクたちが食べているうなぎの99%は養殖です。
日本近海でシラスへと成長したものを捕獲して河川や湖で育てます。
鹿児島や愛知、静岡などが養殖の盛んな地域ですが、最近は中国で養殖したものが大量に輸入されるようになりました。
スーパーなどでも中国産が半分以上を占め、価格は国産の半値近くという場合も多くみられます。
また、最近の中国産はニホンウナギではなく、価格の安いスペインやフランスから輸入したヨーロッパウナギが増えているようです。
価格の安い中国産ですが「産地偽装問題」や養殖の際使用する薬剤から「発がん性物質」が見つかるなど、中国産は問題が多いのも事実です。
ちなみにボクはスーパーでうなぎを買うときは絶対に中国産は選ばないようにしています。
うなぎとファインディング「ニモ」
まだまだ、謎の多いうなぎ。
少し生態が解明されてきたことによってさらにたくさんの疑問が生まれてきます。
「なぜ、グアム近海で生まれた稚魚が遠く離れた日本に来るのか?」
「産卵のため里帰りするうなぎはどうやって故郷の場所を把握するのか?」
など、挙げだすとキリがありませんね。
その中でも、最も不思議なことがあります。
実は、日本に生息するうなぎの9割はオスだというのです。
うなぎは『雌雄同体』という特徴を持っており、河川に住んでいるときはオス、海へ出るとメスになります。
要するに性転換するわけです。
雌雄同体の魚は他にもおり、ファインディングニモでおなじみのカクレクマノミも最初はオスだけしかいません。その後、体の大きな個体がメスに変化するそうですよ。
謎が多く、みんなに愛される魚「うなぎ」。
お魚としてのうなぎをここまでご紹介してきました。
うなぎがとっても愛おしく思えて来ませんか?
ぜひ過去記事と合わせて読んで頂けると幸いです。
次うなぎを食べるとき
口だけではなく
お腹も
頭の中も
うなぎでいっぱいになることでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
現在、近畿大学が「うなぎ味のナマズ」を開発中だそうです。
それがまたとっても美味しいとの評判だというから驚きです。
うなぎ味のナマズの評判がうなぎ上り
といったところでしょうか?
頑張れ、近大!!