虫たちが目覚める『啓蟄』 虫は心にも住み着いていた。

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一寸の虫にも五分の魂

3月6日は二十四節気のひとつ『啓蟄』。
虫たちが目覚め始める季節です。
今回は『虫』にまつわる様々なコトバをご紹介します。

啓蟄とは?

二十四節気の三番目の季節を指し
「冬ごもりしていた地中の虫たちが地上に這い出てくる」と言う意味です。

『啓』は「開く」とか「出発する」といった意味。
『蟄』には「冬ごもりしている虫」という意味があります。

なるほど、『「どーも〜!虫で〜〜す!!」という季節になりますよ』ということですね。

難しい漢字ですが、内容的には春が近づいてきて気分も軽やかな感じがします。

学問的にいうと「太陽黄経345度を示した時」を指すため毎年同じ日とは限りません。
ここ近年では3月5日か6日のどちらかになっています

そもそも『虫』とは?

虫も軽やかに顔を出す楽しい季節なのですが、そもそも「虫」って何なのでしょうか?その定義はどのようなものなのでしょう?

調べたところ意外なものでした。

虫とは「人・獣・鳥・魚」類以外の小動物
という分類になっているようです。

漢字が伝わった古代中国では「虫」はもともとヘビを表す象形文字でした。
ヘビの漢字は「蛇」。

なるほど!

蛇も虫の仲間ということなんですね。 どうしても昆虫やその幼虫など連想しますが、もっと広い意味を持っているんですね。

虫とは思ってないけど『虫』のつく生き物

  • 蟹 かに

  • 蛤 はまぐり

  • 蚫 あわび

  • 蠣 かき(牡蠣としてよく見かけます)

  • 蜊 あさり

  • 蜆 しじみ

  • 蝦 えび

  • 蛸 たこ

  • 蝟 い(ハリネズミのこと)

  • 蝙蝠 こうもり

僕たちが虫と認識していない生き物にも虫編が使われていることからも僕たちの「虫」という定義がいかに狭い意味で使われているのかがよくわかりますね。

生き物ではないのに『虫』のつく漢字

  • 虹 にじ

    虫はヘビ、工はつらぬく、の意味。
    中国で虹は「空をつらぬく大きなヘビ=竜」だと思われていました。

  • 融 ゆう

    鬲は釜の意味。釜の中が腐って虫が出てくる様子から「融ける」となったようです。
    または釜から虫が出てくるように蒸気があがる様子。
    個体から液体に変化する様子を融解といいますね。

  • 蝋 ろう

    現在は石油から作られる蝋ですが、昔は蜂などの油から作られていたことに由来します。

  • 蛋白質 たんぱくしつ

    蛋には鳥の卵という意味があります。
    ということは「卵白質」。
    こっちの方がわかりやすいですね。

  • 強 つよ(い

    弓編に蚕を意味する「つくり」で、絹糸で作られた弓が強いことからこのような表記になったと考えられています。(諸説あります)

  • 風 かぜ

    もともとは「鳳」だったようです。
    鳥は「風の神の使い」といわれていたが
    竜を意味する「虫」に置き換わったという説があります。

人のココロに住みついた『虫』たち

これまで漢字を中心に虫たちを探してきましたが
探さなくても虫たちは僕たち人間の心と暮らしに住みついています。

それは日常のコトバとしてしてよく耳にするものですよ。

  • 弱虫

  • 泣き虫

  • 怒り虫

  • 金食い虫

  • お邪魔虫

「虫」は人間の状態を表わすコトバとして使われているようです。
それにしても虫が人に取り付くとロクなことがなさそうですね。

  • 腹の虫がおさまらない

  • 虫の居所が悪い

  • 虫が好かない

  • 虫唾が走る

  • 虫の知らせ

このように実体はないけど感情としての「虫」。
「なんとなく」という説明できない気持ちを「虫」と表現したんでしょう。このことを虫たちはどんなふうに思っているんでしょうか?ね。

虫の気持ちを代弁させていただくと

まったく『虫のいい話』

ほんと。


いかがでしたか?

虫たちが春を感じて目覚める季節『啓蟄』。
虫も殺さぬ優しい心で虫さんたちを見守ってあげたいものですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
今日という日が皆さんにとってハッピーな1日でありますように。

またすてきコトバの世界でお会いしましょう!

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