漆黒の闇。暗黒の宇宙に浮かぶ惑星。やがて訪れる夜明け。「ツァラトゥストラはかく語りき」をバックに圧倒的に美しく鳥肌が立つような希望と恐怖を感じる夜明け。
映画史上最も有名なオープニングのひとつですよね。
50年前に制作されたとは思えないほど、今見ても引き込まれる作品です。ボクにとっても好きな映画ベスト5に入る作品です。
2018年4月11日、スタンリー・キューブリック監督の映画『2001年宇宙の旅』が日本で公開されてちょうど50年を迎えます。
そこで今回は
スタンリー・キューブリック監督、5つのすてきコトバをご紹介します。
スタンリー・キューブリック監督とは?
1928年7月26日アメリカ合衆国ニューヨーク生まれ。少年時代からカメラが好きでしたがジャズドラマーを目指していたようです。17歳のときに投稿した写真が雑誌「ルック」誌に掲載されたことから見習いカメラマンになります。その後短編ドキュメンタリー『拳闘試合の日』を製作し映画監督としてスタートしました。
36歳のとき『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』を製作し高い評価を受けその後も『2001年宇宙の旅』(1968年)、『時計じかけのオレンジ』(1971年)を製作し不動の地位を得ました。この作品たちはSF3部作とよばれキューブリック監督の代表作とされています。
それ以降も精力的に作品を発表しましたが、1999年3月7日イギリスで70年の生涯を閉じました。最後の作品「アイズ ワイド シャット」公開目前のことでした。
スティーヴン・スピルバーグ監督と親交が深く、晩年に構想を温めていた「A.I.」はキューブリック監督の死後スピルバーグ監督が引き継ぎ2001年に公開され大ヒットしました。
作風は「言葉に頼らず映像で語りかける」というものが多いように感じます。すべての作品において共通するのは「人間性の追究」ではないでしょうか。また、ひとつひとつのカットがとても美しくデザインされているのも特徴です。さなざまな仕掛けがほどこされており、なんど見ても新しい発見があるのでどの作品をとっても「また見たくなる」のがキューブリック作品と言えるでしょう。
主な監督作品
- スパルタカス(1960年)
- ロリータ(1962年)
- 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか (1964年)
- 2001年宇宙の旅 (1968年)
- 時計じかけのオレンジ (1971年)
- バリー・リンドン (1975年)
- シャイニング (1980年)
- フルメタル・ジャケット(1987年)
- アイズ ワイド シャット (1999年)
キューブリック監督のすてきコトバ
暗黒がいかに広大であろうと
私たちは自ら光を発するべきである
この世の成り立ちとして光と闇は常にバランスを取り合っていると思っています。神と悪魔、善と悪、光と闇。それらはお互いがあるからこそ存在意義があるわけです。喜びと悲しみ、愛しみと憎しみ、生と死。光を投げかけること、それが生きるということなのだと思います。
世の中に、馬鹿げた考えなどというものはない。
キューブリック監督が1971年に「時計仕掛けのオレンジ」を制作したとき、犯罪や暴力を増長させるとして検閲の対象になりました。それと同時に高い評価も受け、今では後世に大きな影響を及ぼした作品のひとつとしてのあげられるほどです。人の考えや価値観は時間の経過とともに変わるものです。
馬鹿げているといわれた地動説。天動説が常識とされていた時代に勇気を持って唱えたガリレオは処刑されました。しかし、地動説はいまや常識です。
死者は1つのことを知っている。
それは生きている方が
良かったということだ。
生きていることはとても特別なことで「魂が肉体を得てアトラクションに乗っているようなものだ」とある人がいいました。その感覚をそのまま信じるなら、私たちの魂は肉体を失ったときにそれを強く感じるのでしょう。キューブリック作品に共通するのは人間性の追求。つまり生きということをリアルに表現していたのではないかと思うのです。
俳優やジャンルで映画を選ぶべきではない。
ひとそれぞれに興味の方向は違うものですが興味あるものだけを見るというのはあまりにも残念です。興味のない世界にどんなメッセージが隠されているかわかりません。新しい発見をするつもりで興味のない世界にも足を踏み入れることこそ「知の探求」なのではないでしょうか。それはきっと人生を豊かなものにしてくれるでしょうし、そこで得た知性や感情がその後のあなたに大きな影響を与えるでしょう。
最新の作品を見るのもワクワクしますが未知のジャンルを開拓するのも違うドキドキがあっていいもんですよ。
2001年宇宙の旅
SF作家アーサー・C・クラークとのコンビから生まれたこの作品は最先端の技術と人間性の探求を描いています。制作には5年の歳月を費やしました。クラシック音楽の調べに乗せて描かれるモノリス、宇宙船、コンピューターHALの描写に引き込まれます。
美しい映像はこれから開かれる扉の向こう側の世界への期待と不安を否応なく掻き立てます。
この作品は様々な解釈ができるためキューブリック監督は、この作品の意味についてよく問われたそうです。それに対してこのように応えています。
「この点について話し合う気はない。かなり主観的なことだしおそらく見る人にとって受け取り方は異なるからだ。そういう意味では、観客が感じたことがすべてという作品だ。もしこの作品が見るものの心の中の様々な感情を呼び起こして潜在意識にまで入り込み、またどれほど不完全な形であっても、観客の神話や宗教へのあこがれや強い好奇心をかきたてたとしたら、作品として成功したと言える。」
いかがでしたか?
人間性を追究してきたキューブリック監督。彼のコトバは人間性の肯定でもあるように思いました。
この記事を読んだあとでぜひ「2001年宇宙の旅」をご覧になってみてください。過去に見たけどイマイチだったという方、初めてという方、大好きで何回も見たよという方、それぞれが新しい発見をして、ワクワクしてくれればいいなと思います。
さいごに
『2001年宇宙の旅』を最近はじめてみた人はきっと驚いたことでしょう。
「50年前の映画にGoogleHomeが登場してたなんて!」
ってね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今日という日が皆さんにとってハッピーな1日でありますように。
すてきコトバが届きますように!